この技のマスターは,自然界と魔法界の物質の作用についての知識を持っている.彼らは特に強力な力を持つポーションの調合に秀でている.
化学者なら誰でも,すくなくとも8種類のポーションを調合することができる.それぞれ魔法の秘薬を主原料として作られる.
黒真珠から,疲労回復の赤いポーション.
血の苔から,器用さの青いポーション.
大蒜から,飲んだものに暗視の能力を与える黒いポーション.
人参から,傷を癒す黄色いポーション.
マンドレイクから,筋力を向上させる白いポーション.
ナイトシェードから,致命的な毒の緑のポーション.
蜘蛛の糸から,解毒のオレンジ色のポーション.
硫黄の灰から,破壊力のある爆発をおこす紫のポーション.
化学者の実験室にはいろいろな道具や容器が用意されているが,熟練した化学者ならば必要な秘薬とできたポーションをいれる容器さえあれば,以上のどのポーションでも作り出すことができる.
人間の身体の構造の知識はヒーラーにとってのみならず,戦士にとっても重要である.攻撃を最大に活かすための知識として有用だからである.
無知なものは野生動物の爪や牙を恐れるが,賢明なるものは荒野の奥深くでも恐れることはない.
動物学に通じたものは,動物を見ただけで習慣,有用性(毛皮を取れるか,肉を食べられるか,その他なにが使えるか),いま腹をすかせているのかどうかなどを見抜くことができる.動物を仲間として連れて旅すれば,ペットの気分や状態をこのスキルで判断できる.
旅においては仲間に頼らなくてはならない局面がしばしばある.人間の仲間がいないときでも,よく訓練された馬や忠実な猟犬がその役を果たす.多くの動物はならすことが可能だし,ドラゴンの子供を手なずけたという話もある.しかし注意せよ.野生の強い動物にトレーナーの言うことを聞かせるためには高いスキルが必要であるし,いったん馴らされた動物でも丁寧に扱って十分に食べさせておかないと,主人に歯向かうことがあるのだ.
弓の技は防御戦にも,食料を獲得するにも便利である.弓でも石弓でも使うには鋭い視力が要求され,熟達した射手は槍などの投擲武器も正確に狙えるようになる.
戦士にとって,体を鍛え自分用の戦闘のスタイルを磨くだけでは不十分である.同時に戦場で対峙するかもしれない武器やスタイル,テクニックについても知らねばならない.
この種の知識を獲得すると,鎧の種類によってどれだけの防御力があるか,またある武器がどの程度の破壊力があるかを判断できる.さらに,ひとめ見ただけで武器が片手用か両手用か,どんな傷を与えるようにできているか(切り裂くのか,打撃か,突くのか),痛み具合,使い手の体格や筋力で完全に使いこなせるかどうか,射撃兵器の射程距離などもわかる.また,武器に毒がぬられていたり仕込まれたりしているかどうかもわかる.
卑しいスキルではあるが,運が尽きたときに他人の慈悲と情けに頼らずに生き延びられる旅人はまれである.特別に訓練したひかえめな態度で通行人にすり寄らなくては,コインのかわりにパンチをもらいかねない.
鍛冶の技をマスターするのは一生かかる仕事だが,馬に蹄鉄を履かせたり刃を鋭くする程度の基礎的なスキルは誰でも学ぶことができる.
鍛冶の道具には様々なものがあるが,最低限ハンマーとやっとこ,炉か金床,それと十分な原料の金属が必要である.これだけそろえば,鍛冶屋はどんな種類の武器や鎧でも作ったり修理したりできる.
矢師は矢を作る技術の持ち主で,弓師は弓を作る.どちらかについて学べばもう一方についても十分に知ることができる.矢師は適当な棒を選んで先を尖らせた矢柄を作り,うまく飛ぶような矢羽をつける修練をしている.弓師も同様に丈夫でしなやかな棒に弦を張って張力を調整する.
毎晩宿に泊まることができる金をいつでも持っていて,そもそもいつでも宿屋を見つけることができると信じている旅人がもしいれば,相当の愚か者である.したがって,だれであろうと野生動物や自然の猛威から身を守れる しっかりしたキャンプの張り方を知ることは重要である.そのようなキャン プは狂暴な人間に対する防御にもなる.
キャンプの第1の知恵は,暖かい焚き火をおこして,くすぶったりせず長時間燃やすことである.キャンプする場所を正しく選んで,ちゃんとしたキャンプファイヤを作れれば,野生の脅威から身をまもれる安全な場所ができあがる.
必要な道具さえ手に入れば,大工はさまざまな入れ物,アイテム,家具などを作れる.手慣れた大工は木を伐り倒して便利なように木材を切り出すこともできる.
木工職人の技術は快適な街道の旅にいろいろと役に立つ.また金銭の問題にあっても,有能な大工ならいつでも仕事を見つけることができる.
いくつもの偉大な発見が,発見者がその発見を持ち帰る途中で道に迷ったために永遠に失われた.地図職人の技は自分がどこにいるかのみならず,ど こから来たのかもはっきりさせる.正確に描かれた海図があれば航海中に航路を作図することも可能である.ほとんどの地図作者は乱暴に扱われてもかすれたりこすれたりしない特別な羊皮紙しか使わない.
狩りや釣りの獲物を丸焼きにするのはごく簡単なことだが,そのような食事はすぐに飽きがくる.ちょっとした調理の知識があれば,大いに満足度が向上するだろう.腕におぼえのあるコックなら生地にハチミツ,肉,果物や野菜を加えて,ただのパンよりもずっと上等な料理をこしらえるのは造作もない.もちろんどんな料理の技も,火を自分でおこせるか手近で借りることができなくては,なんの役にも立たない.
旅人は自身の感覚の鋭さに頼っている.不意打ちやワナを避けたり,他の者が見逃したなにかを見つけるためには感覚を研ぎすまさねばならない.ものを敵の目から隠す知識が重要なのと同様,隠されたものを見つけ出す能力も実に有用である.狭い範囲に注意を集中させて,その場所になにもおかしなものがないことを確認するという手法である.
吟遊詩人だけが持つスキルである.ハープなどの楽器を演奏して,人や野生動物を自分の側に引き寄せることができる.この技は便利だが気をつけて使わねばならない.相手が腕の届く範囲までやってくると呪縛が解けるのだが,敵にも味方にも同様に働くため,奏者に敵意を持つものはそばまで来たところで奏者を攻撃することができるのだ.
出会った人物の狡猾か単純か,賢いか愚かか,などの精神的な状態を見抜く能力である.刃を交える前に相手の実力を見抜くことが有益であるのと同様,敵手の知能程度を推し量ることができなくては戦闘で状況を正しく判断することはできない.
フェンシングは軽い剣や短剣で戦う技術である.普通の剣技よりも微妙さが要求され,紳士的な武芸と考えられている.しかしフェンシングの軽い武器と重武装の相手へも効果的なことから,社会階級を問わずどの旅人にも勧められるスキルである.
湖,流れや河川からの収穫はしかるべき能力を持った旅人が生きていくのに十分なものがある.猟師や釣り人はうまい釣り場と釣り竿があれば自分自身と仲間の分まで食料を入手できる.
死人にも口はあるのだ.サインを正しく読み取れるものにとってしかわからないが.検死とは死体を調べて死因や死亡時刻を知る技術である.陰惨な仕事にも見えるが,賢い冒険者はこの技術を活用して,殺されたばかりの死体から殺人者が近くにいることを知ることもできる.また殺人者がどのようなものなのか,出会う前にできるだけ詳しく知ることも重要だ.
荒野での危険は数知れず,怪我や病気を診ることができる者は賢明である.傷の止血をして容体を安定させ,自然の回復を早めることは旅人にとって大切である.簡単なけがの治療にも清潔な包帯は欠かせない.
牧人とは動物を思いどおりに動かせる人間をいう.羊飼いの使うような杖を上手に使えることと,動物の習性をよく知ることが重要である.家畜がいる地域ならどこでもこのスキルは重宝する.
時には,自分自身や持ち物を隠すのが最上の知恵であることがある.慎重に徹底的に探しても見つからないような隠しかたの秘密はあまた存在する.うまく隠れるためにはまったくじっとしている必要がある.動くものは目にとまりやすいのである.当然ながら自然に隠れる場所が豊富な場所では隠れることも簡単だが,わたしは以前に刈ったばかりの芝生の上でも姿を消せる名人に会ったことがある.
基本的には,巻き物や書物の内容を正確かつ迅速に書写するためのスキルである.魔法の技を学ぶ者には必須のスキルであり,スクロールなどからスペルブックにスペルを書き写すのに必須となる.
国を旅するものはみな,必要なものを取り引きで手に入れる必要があり,そのためには価値のあるものと無価値なものを見分けられなければならない.欲を言えば,ある品物がいつどこで需要があるのか,どこか他に売りに行ったほうが得になるかどうかまで判断したい.
また魔法のかかったアイテムを手に入れるチャンスがあったときに,そういったアイテムを見逃さない能力としても役に立つ.
無法者のためのスキルと考えられがちだが,例えば不当に牢に入れられたときや,自分の持ち物がむりやりしまいこまれたときなどにも実に有効である.しかし錠前を作る職人は間抜けではないし,出来のよい錠前はなおさら,錠開けは単純な技ではない.さらに魔法で閉じられた鍵も多くあり,これらを機械的な方法で破るのは不可能である.
木こりの斧をもって樹木から木材を切り出す技術である.大工や弓造には必須の作業なのだ.
屈強な戦士の好んで使う武器のひとつはメイスである.ごく単純な棍棒でも,素手よりははるかにましである.殴るタイプの武器を使いこなすには独特のやり方があり,刃や尖った先端を使う武器とはまったく違うものである.メイスや棍棒の練習を積むと,斧もうまく使えるようになる.
魔法のスペルに対して超自然的な畏怖を抱いているものもまだ少なくないが,魔法に多少なりとも通じていれば非常な助けとなりうる.誰もが偉大な魔術師になるためのすべての知識を身につける必要はなく,簡単なスペルをいくつか知っているだけでも冒険の旅はずいぶんと楽になるのだ.
洞窟や山腹のどこに鉱石が埋蔵されているか,知っているのが鉱夫である.それを掘り出す技術も鉱夫のものだ.鉱夫はたいてい鍛冶屋の仲間であり,必要な金属を提供する.
吟遊詩人でなくてもちょっとした楽しげなメロディーを思いつくことはできる.しかしこのスキルの真価は,真の吟遊詩人の他人の行動を操るというもっと高等で繊細な技能に結び付く点にある.誘惑(Enticement),なだめ(Peacemaking),扇動(Provocation)のスキルである.楽器をなにか演奏できるようにならなくては,これらのスキルも役立たずである.
敵を打ち倒すよりもなんとか持ちこたえることのほうが都合がよいということもある.防御と回避の技術を学ぶことは,特に生っ粋の戦士でないものにとっては,攻撃の技術と同様重要である.
吟遊詩人のもつ独特なスキルのひとつである.ハープなどの楽器が上手でなくてはこのスキルを利用することはできない.
スキルの効果が発揮すると,奏者は周囲で行われている戦闘を止めさせることができる.上達すると,モンスターさえも戦いを放棄し,「音楽は野獣をも魅了する」ということわざが実現する.
殺し屋だけのスキルではなく,モンスターや害虫を追い払うのにも毒の知識は有効である.毒を扱うスキルに長けたものは食べ物や飲み物に毒を混ぜたり,刀や矢じりに毒を塗ったりできる(使っているとすぐに落ちてしまうが).毒を受けると気分が悪くなり,時には死に至ることもある.また犠牲者の力を奪い,動きをのろく,ぎこちなくさせるような毒もある.
吟遊詩人の能力は,魂を静めるだけではなく,燃え上がらせることもできる.臆病な者でも起ち上がらせ,用心深い者をも行動に走らせる.このスキルを用いれば,奏者の敵を同士討ちさせてそのあいだに逃げ出すこともできる.
自分自身が魔法の技術を持っていてもいなくても,精神力を強めて魔法への抵抗力を高めるということはできる.魔法による攻撃を切り抜けてきた経験のある者は,魔術の戦闘を経るたびに魔法に耐える能力が高まったと述べている.
こそどろとは文字どおり盗みによって生活しているもののことだが,カバンやポーチのをいくらか軽くしてしまう前にその中身を調べる技の持ち主である.盗人のためだけのスキルだが,完全を期するためと,善良な旅人に泥棒の手口をしらせて注意を呼び起こすためにここに含めた.
死者の霊魂はどこにでも存在し,目撃したことがある者も多い.幽霊が目に見えるときは,幽霊の声を聞くこともできる.死者の声は風が吹きぬけるようなかすかなうめき声にしか聞こえないが,幽霊の囁きを理解する技を会得することも可能なのである.霊媒のスキルをマスターすれば,生きた人間と話すのとまったく同じように死者と会話することができる.
盗賊は口をちゃんと閉めて肩に背負っているバックパックからでも持ち物を盗み取る技術の大家である.わたしは不正な輩や悪者からしか盗まないという名誉を重んじる人を数名知っているが,そのほかの盗人はほとんどならず者にすぎず,鞭やロープがふさわしい連中である.
古代からの名誉ある技芸であり,ブロードソード,シミター,フランベルジュなどの重い剣で戦う技である.自分の身を自分でまもる旅人にもっとも人気がある.剣は万能かつ強力な武器で,持ち運びも容易である.基本は簡単だが,完全にマスターするのは人生を通じての仕事となる.
個人戦闘での戦術とは,敵の弱点を突くためにはどういう位置関係にあればよいか,攻撃の最善のタイミング,敵の動きを読んだり,意表を突く動きで敵を驚かせることなどを指す.戦術とはそれ自体が,武器そのものの使い方とは違う,ひとつの技術である.
裁縫の道の第一歩は木綿や亜麻,羊毛から糸を紡ぐことである.次には機織り機で布を織り,その布を服に仕立てる.仕立屋ではたいてい,端切れを包帯として売っている.裁縫は旅人にとっても非常に実際的なスキルで,ひとつにはどこでも役に立つし,また裁縫(機織りや糸紡ぎは別として)のための道具が手軽に持ち運べるからである.
味覚を鍛えた者は,毒が害をなす前に気がついたり,ポーションを使ってしまうことなしに見分けることができる.
わたし自身の呼称でもある職人は,大昔から,鍋やヤカンを作ったり直したりしてきた.しかし今日では,われらのスキルは時計や船乗りの六分儀などの精密な装置を作るのに活躍している.職人が必要とする素材は相当量が必要だが,細工に必要な道具は街から街へと楽に運ぶことができる.
追跡のスキルで有名なのはレンジャーだが,自然界の様子をつぶさに眺めていれば,どんな生き物が最近通ったのか,どちらへ行ったのか,などがわかるようになってくる.追跡のスキルは次の食事を獲得する役に立つし,なにかが自分を次の食事にしようとしていることに気がつくかもしれない.
忠実な馬などの動物の仲間の価値はすでに述べた.その価値がゆえに,そういった生き物の健康状態を調べることは有益である.さらに,獣医のスキルはいつでも需要がある.
「レスリング」と言ってもつかみ合いのスポーツだけではなく,蹴ることや殴ることまで含めた素手での戦闘全体を示す.もし素手でいるときに武器を持った敵と対峙したら,フェアやアンフェア,正道や卑怯などと言うのは愚かなことである.身体の持つすべての能力とチャンスを生かさなくてはならないのだ.